キャリアに悩むサラリーマンが「転職の思考法」を読んだら光が差した①~転職とは初めての意思決定編~

転職

2018年6月に出版された「転職の思考法(著者:北野唯我氏)」を読みました。数々の共感や気づき、感動がありました。そして、何度も何度も心を抉られました。感想を述べずにはいられませんので、何回かに分けて記したいと思います。
本書は、転職を希望している人だけではなく、私のように出世コースから外れたり、今の仕事に悩んでいたりと、現職に不安や不満を持つ人にもおすすめの内容です。モヤモヤとした心が晴れ渡り、びっくりするほど光明が差し込みます。本書を読めば、自分自身の「働く」ということに対する価値観を見つめなおし、再定義することもできると思います。

本書は、30歳の平凡な会社員である青野氏と敏腕コンサルタントである黒岩氏による掛け合いがメインでストーリーが展開されます。その中に出てくる黒岩氏の言葉にハッとさせられるのです。
この先はネタバレになりますのでご注意ください。
今回は「転職とは初めての意思決定」をテーマに感想を述べます。

転職とは初めての意思決定

本書冒頭の方に出てくる黒岩氏の発言に、

転職というのは多くの人にとって「初めての意思決定」

というものがあります。読み手からすれば、転職より以前に、受験や最初の就職活動等で意思決定はすでに経験済みなのでは?と思うわけです。

次に続く黒岩氏の言葉です。

多くの人は普段、じつは何も意思決定しないで生きている。自分で大学を選び、就職先も自分で選んできたと思っているかもしれない。しかし、それは、ただ単に、これまでレールの上を歩いてきただけで、自分で何も決めていない。電車に乗り、目的地に進んでいく。大学であれば世の中からいいと言われる大学を目指し、就職先も、世間的にいい会社を選んできただけ。しかし、意味のある意思決定というのは必ず、何かを捨てることを伴う

確かに私自身においては、大学に行ったり就職したりというのは、皆と同じレールの上を歩んでおり、その中で偶然自分が受けた大学や会社に所属したという側面があります。「自分で何も決めていない」とは言い過ぎな部分があると思いますが、自分が主体的にとった行動だと胸を張って言うことはできかねます。

意味のある意思決定は何かを捨てることを伴う

意思決定の本質とは、何かを手放すための行動

黒岩氏の言葉はこのように続きます。

多くの人が、転職に恐怖を感じるのは、何かを手にするからではない。人生で初めて何かを手放すことになるからだ。しかも自分の意志で

鳥肌が立つほど的を得た言葉だと思います。私は生まれて44年間、何かを手放す意思決定をした記憶はありません。もちろん、所持しているゲームを手放す、大切にコレクションしていたものを手放すなどのことはありますが、人生を左右する意思決定ではありません。「家族を手放す」という意思決定を8割方固めていた時期がありましたが、最終的にはその決断を取り下げました。
何かを手放す意思決定をするには、それ相応の覚悟が求められます。実際に手放すかどうかは別として、その覚悟をもって行動してきた人は、メンタルがぐんと鍛えられますし、人間的にも飛躍的に成長すると思うのです。

覚悟をもった行動は人間を飛躍的に成長させる

自己投資してきたものも一緒に手放すわけではない

これまで受験や仕事に頑張ってきた人のほうが、その投資分が大きく見えてしまい、恐怖を感じる。そしてそれは転職した後も、しばらく付きまとう。これでよかったのかな?あっちの道のほうがよかったんじゃないか?と

偏差値の高い大学、名の知れた企業、そしてそこでの頑張り。これらが大きければ大きいほど、手放すことに恐怖を感じ、手放す意思決定に躊躇すると思います。名声、つまり、自尊心に傷がつく恐怖に似ているのだと思います。しかし、その環境での自己投資で身に付けたものも一緒に手放すわけではありません。
また、転職などで環境を変えた際、元の環境の方が良かったのではないか?と誰しもが一度は思い悩むはずです。しかし、修正のきかない過去をあーだこーだと思い悩んでも仕方がありません。そのうえ、この発想は元をたどれば究極、「生まれてこなければ良かった」という答えに帰結することになってしまいます。言語道断ですね。

私はこれまで一つの会社で20年間勤めていますが、社会人20年を節目に、これまでのキャリアを棚卸しました。自分が手掛けてきた業務と身に付けたスキルを箇条書きレベルで書き出したのです。すると、自分がやってきたこと、自分が身に付けてきたことは、もしかしたら他の環境でも通用し、お役に立てるかもしれないと思うようになったのです。もしかしたら自分自身が今より輝ける環境に身を投じることも期待できるのではないかと。

自己投資で培ったスキルや経験値は他の環境でも生かすことができる

「転職の思考法」を読んだ感想として、今回は「転職とは初めての意思決定」というテーマで感想を述べました。
意思決定の本質とは、「人生を左右する何かを手放す」ことであり、相応の覚悟がない限り実行に移せません。何かを手放すわけですから、そこには恐怖が生じます。しかし、自分自身の成長の証まで手放すわけではありません。だからこそ、自身の成長をしっかりと明示化して、客観的に理解してもらえるように整理することが大切なのだと思います。

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