2018年6月に出版された「転職の思考法(著者:北野唯我氏)」を読みました。数々の共感や気づき、感動がありました。そして、何度も何度も心を抉られました。感想を述べずにはいられませんので、何回かに分けて記したいと思います。
本書は、転職を希望している人だけではなく、私のように出世コースから外れたり、今の仕事に悩んでいたりと、現職に不安や不満を持つ人にもおすすめの内容です。モヤモヤとした心が晴れ渡り、びっくりするほど光明が差し込みます。本書を読めば、自分自身の「働く」ということに対する価値観を見つめなおし、再定義することもできると思います。
本書は、30歳の平凡な会社員である青野氏と敏腕コンサルタントである黒岩氏による掛け合いがメインでストーリーが展開されます。その中に出てくる黒岩氏の言葉にハッとさせられるのです。
この先はネタバレになりますのでご注意ください。
以下は前回書いた記事です。好きなことは自分の「ラベル」にすべきことを解説しています。
「転職とは初めての意思決定」とはどういうことなのかを解説しています。
仕事ではポジショニングが大切であることを解説しています。
4回目の今回が最終回です。「失敗する条件」について感想を述べます。
転職とは世の中の人々に次のチャンスをもたらすもの
黒岩氏は転職のネガティブなイメージをバッサリと切り捨てています。
転職とは単に名刺の住所や給料が変わるだけのものじゃない。世の中の人々に次のチャンスをもたらすものなんだよ。今の会社では活躍できていなかったとしていも、違う場所で輝ける可能性がある人は本当にたくさんいる。それなのに、転職をタブー視して会社への忠誠という言葉で自分をごまかしている人間がどれだけ多いことか。そんな人間が増えると、いずれ会社そのものが立ち行かなくなる。そして人材の流動性が下がれば最終的には社会全体もダメになる
私は現職で20年間勤めてきましたが、結局、出世に恵まれませんでした。客観的には、活躍できない人間とみなされているわけです。そんな私でも、違う職場なら活躍できる可能性があるかもしれないということです。
そのためには、他人に自慢できる「ラベル」を持つこと、そして、いつでも転職できる人間になることが条件として挙げられるでしょう。私自身いま一度、これまでのキャリアや身に付けたスキルを洗い出してみようと思います。これらを整理することで、少しは自信が湧いてくるような気がするのです。
転職は「負け」「逃げ」といったネガティブなイメージが根強く残っています。私は出世コースから外れて現職に忠誠心など微塵もありませんが、所属先に忠誠を求める人間が沢山いるのも事実であります。しかし、リストラとなるとあっさりとクビを切るわけで、その非道な仕打ちには首をかしげたくなります。

マイナスイメージは一掃したいものです
転職が当たり前になれば、その逆のことが起こる。自分をごまかさず、本当に正しいことができる。会社も、より社員に魅力を感じてもらえるような場であろうとする。私は、転職が日本の社会を変えると本心から信じている
社員の皆がいつでも転職できる人間になれば、その会社も選んでもらえるよう魅力的な会社になるべく努力するというロジックです。その広がりが、日本の社会全体をより良いものにするというのです。
100%失敗を招く唯一の条件とは
意思決定をし損ねた時の後悔について述べています。作者が最も伝えたかったことのような気がします。
世の中で最も恐ろしい言葉の一つは、失敗という言葉だ。これほど定義が難しく、残酷な言葉はない。多くの成功者が言うように、最後さえ成功すれば、その途中の失敗も、すべては「必要だった」と言える。要は考え方次第なんだ。だが、その中でも「100%失敗を招く、唯一の条件」というものがある。それは腹を括るべきタイミングで、覚悟を決めきれなかった時だ。これが100%後悔するための唯一の条件だ。反対に腹を括り決断した人間には、長い目で見ると失敗などない。誰に笑われてもバカにされても、何度でも立ち上がり未来を向くからな。これがこの世の意思決定にまつわる最大の心理なんだよ
「 100%失敗を招く唯一の条件は、腹を括るべきタイミングで、覚悟を決めきれなかった時」。転職にとどまらず、すべての意思決定について当てはまる言葉です。
本シリーズの初回に、「意思決定とは何かを捨てること」とありますが、つまり、「意思決定とは、覚悟そのもの」なのです。

光明が差すのです。
ラッキーな人間がいるならばアンラッキーな人間もいる
「『転職の思考法』を読んだら」シリーズ最後のフレーズ紹介です。私が最も感銘を受けたフレーズになります。
頑張ったからといって成果につながるとは限らない
成果が出ているからといって昇給や昇格につながるとは限らない
ラッキーな人間がいるならばアンラッキーな人間もいる。これが会社員の宿命
これがどうしても受け入れられないのならば、転職したり起業したりして、今の環境から飛び出すしかない
このフレーズを読んだ時、あたかも私に向かって話しかけているような錯覚を覚えました。
困難を乗り越えた先に光が差さないのであれば、それは絶望にたどり着きます。そこにラッキーはなく、アンラッキーが待っているだけです。いくら頑張っても光が灯さない環境ならば、自分の身を置く環境を変えるべきだと思います。
SNS上でこうしたつぶやきを見かけました。
「ミスが命にかかわらない選択なら深刻にならなくていい」
まさしくその通りだと思います。自分が歩む道を信じて、ビビらず意思決定すればよいのだと思います。
最後にもう一度申し上げます。
「 ミスが命にかかわらない選択なら深刻にならなくていい」
ありがとうございました。
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