つみたてNISAは2018年1月から施行開始された税制優遇制度、iDeCoは2001年10月から施行開始された税制優遇制度です。ちなみに企業型DCは2002年4月から施行開始となっています。
※本記事のテーマは、「つみたてNISA」「iDeCo」「企業型DC」のすべてにあてはまるので、この記事では3つの制度の中から代表して「つみたてNISA」のケースで記述します。
途中で運用商品を替えたら複利の恩恵を受けにくくなるのか?
先日、SBI証券から、米バンガード社が運用するETFである「VTI」「VYM」に連動するインデックスファンドを6/29に設定するとの発表がありました。これまでの他社商品よりも信託報酬が安いことが魅力です。
SBI・Vシリーズ:https://go.sbisec.co.jp/lp/lp_sbi_v_series.html
ところで現在、つみたてNISAの運用商品をSBI・Vシリーズやその他の商品に替えてみようかと考えている方がいらっしゃると思います。もちろん、すでに変更された方もいらっしゃるでしょう。
つみたてNISAのような長期運用の積立投資の場合、運用成績は複利効果が大きく寄与するのですが、果たして、途中で運用商品を替えた場合、複利効果を損なったり、運用成績に悪影響を及ぼしたりすることはないのでしょうか?
積立投資における複利効果は、長期になればなるほどその威力を発揮します。そうした中、途中で運用商品を替えてしまえば、またイチから積み立て直すことになるので、複利の恩恵を受けにくくなってしまうのではないかという疑問がわいてきます。そこら辺について、仮説を検証してみます。
積立投資における複利効果は「年金終価係数」で算出できます。FPで学んだ係数です。
年金終価係数などの資産運用6つの係数は、下記サイトで確認できます。
keisan:https://keisan.casio.jp/exec/system/1428907097
「20年一貫」「10年後に切り替え」「10年後以降は2商品で運用」の3つのケースでシミュレーション
今回は、下記の3つのケースでつみたてNISAのシミュレーションをしてみます。
- 20年間一貫して商品Aで運用
- 前半の10年間は商品Aで運用。後半の10年間は商品Bで運用
- 前半の10年間は商品Aで運用。後半の10年間は商品A50%、商品B50%で運用
公正を期すため、すべてのケースで積立金額は年間40万円。商品A・B共に平均利回りを5%とします。
1.のケースです。
商品Aを平均利回り5%で年間40万を20年間積み立てた場合、満期時評価額は、
40万円×33.066(年金終価係数20年)=13,226,400円 となります。
2.のケースです。
前半の10年間は、商品Aを平均利回り5%で年間40万円積立投資します。10年後評価額は、
40万円×12.578(年金終価係数10年)=5,031,200円 となります。
後半の10年間は、商品Aは積立投資をしませんが、前半10年の評価額に10年間の複利が効きますので、それを終価係数で算出します。すると評価額は、
5,031,200円×1.629(終価係数10年)=8,195,824円 となります。
また後半10年間は、商品Bを平均利回り5%で年間40万円積立投資します。すると評価額は、
40万円×12.578(年金終価係数10年)=5,031,200円 となります。
したがい満期時評価額は、商品Aの評価額と商品Bの評価額を合わせて、
8,195,824円+5,031,200円=13,227,024円 となります。
3.のケースです。
前半の10年間は、商品Aを平均利回り5%で年間40万円積立投資します。10年後評価額は、
40万円×12.578(年金終価係数10年)=5,031,200円 となります。
後半の10年間は、この5,031,200円に複利が効きますので、それを終価係数で算出します。すると評価額は、
5,031,200円×1.629(終価係数10年)=8,195,824円 となります。
また後半10年間は、商品Aと商品Bを平均利回り5%で年間20万円ずつ積立投資します。すると評価額は、
20万円×12.578(年金終価係数10年)+20万円×12.578(年金終価係数10年)=5,031,200円 となります。
したがい満期時評価額は、
8,195,824円+5,031,200円=13,227,024円 となります。
運用商品を途中で替えても複利効果・評価額に影響なし
もう一度整理しますと、
- 20年間一貫して商品Aで運用した場合、20年後評価額は13,226,400円
- 前半の10年間は商品Aで運用。後半の10年間は商品Bで運用した場合、20年後評価額は13,227,024円
- 前半の10年間は商品Aで運用。後半の10年間は商品A50%、商品B50%で運用した場合、20年後評価額は13,227,024円
各係数の端数で若干誤差が生じていますが、上記のシミュレーションから、運用商品を途中で替えても複利効果や評価額に影響がないことが分かりました。
ということは、長期積立の途中で、「この商品で運用したいな~」と浮気心が湧いてきたら、複利問題で迷うことなく浮気しても良いということですね!

つみたてNISAやiDeCoのような長期積立は退屈でやることがないとよく言われますが、その中でも運用商品を切り替えたりして刺激を求めることはできます。
私もSBI証券のVTI連動のインデックスファンドに興味津々です。
これまでに書いた、つみたてNISAやiDeCoに関する記事です。
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